森村泰昌の「なにものかへのレクイエム-戦場の頂上の芸術」と題した展覧会が最後の巡回地で開催しています。
2010年3月に東京写真美術館でスタートした同展示は、その後豊田市、広島市と巡回し今シリーズ最後の展示会場となる神戸にて開催中です。

森村泰昌と聞いてすぐに頭に浮かぶのは、森村氏自身が女装して写るセルフポートレート作品。しかし、今回は20世紀の男たちをテーマにした内容。
20世紀に撮られた報道写真などを元に歴史を動かした男たちに扮していきます。そこに登場する主な人物は、三島由紀夫、チェ・ゲバラ、毛沢東、レーニン、ヒトラー、アインシュタインなど。政治色を色濃く出した作品からは、20世紀という時代は現在にいかに引き継がれているのかを問いていきます。
報道写真が人を動かし時代を動かした20世紀。そのときに起こった歴史的瞬間を森村自身が扮して作品として再現。写真の持つパワーや影響力を改めて認識します。
その反面、作品から伺えるもうひとつの大きなテーマは、写真とは一体なんだろうかという問い。もしこの展示会をなんの予備知識もなく森村泰昌のことを知らない人が見たら、そこに写っている三島やアインシュタインの作品は、森村が扮しているのではなく本人が写っているポートレートと勘違いするかもしれません。
それが本人ではなく作者自身が扮したものだと分かった瞬間、本来写真の持つ真実性に対しての疑いが生じます。そこも森村作品のテーマであり、作者からの投げかけがあるようにも感じられます。
デジタルカメラでいとも簡単に写真が撮れ、その写真を如何様にも加工することができるデジタル写真。画像を編集ソフトを使い加工すれば現存しない風景も簡単に作り出せてしまいます。そんな時代背景を持つ現在、日頃からデジカメを使い撮影する我々に写真を撮ることとはどういうことなのかを改めて問われているようでもありました。
本展示は、ひとつのテーマに対し写真作品と映像作品がセットになっています。駆け足で流して見るのではなくじっくり時間をかけて鑑賞されるのがお勧めです。
「なにものかへのレクイエム-戦場の頂上の芸術」
開催日時 2011年01月18日~2011年04月10日 10:00~18:00
会場 兵庫県立美術館
会場住所 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号
アクセス JR神戸線「灘」駅より徒歩約10分
阪神電車・市営地下鉄・山陽電鉄・神戸電鉄「岩屋」駅より徒歩約8分
入場料 一般1200(1000)円
大学生900(700)円
高校生・65歳以上600(500)円
中学生以下無料
※( )内は、前売料金及び20名以上の団体料金

美術の解剖学講義 (ちくま学芸文庫)
クチコミを見る
2010年3月に東京写真美術館でスタートした同展示は、その後豊田市、広島市と巡回し今シリーズ最後の展示会場となる神戸にて開催中です。

森村泰昌と聞いてすぐに頭に浮かぶのは、森村氏自身が女装して写るセルフポートレート作品。しかし、今回は20世紀の男たちをテーマにした内容。
20世紀に撮られた報道写真などを元に歴史を動かした男たちに扮していきます。そこに登場する主な人物は、三島由紀夫、チェ・ゲバラ、毛沢東、レーニン、ヒトラー、アインシュタインなど。政治色を色濃く出した作品からは、20世紀という時代は現在にいかに引き継がれているのかを問いていきます。
報道写真が人を動かし時代を動かした20世紀。そのときに起こった歴史的瞬間を森村自身が扮して作品として再現。写真の持つパワーや影響力を改めて認識します。
その反面、作品から伺えるもうひとつの大きなテーマは、写真とは一体なんだろうかという問い。もしこの展示会をなんの予備知識もなく森村泰昌のことを知らない人が見たら、そこに写っている三島やアインシュタインの作品は、森村が扮しているのではなく本人が写っているポートレートと勘違いするかもしれません。
それが本人ではなく作者自身が扮したものだと分かった瞬間、本来写真の持つ真実性に対しての疑いが生じます。そこも森村作品のテーマであり、作者からの投げかけがあるようにも感じられます。
デジタルカメラでいとも簡単に写真が撮れ、その写真を如何様にも加工することができるデジタル写真。画像を編集ソフトを使い加工すれば現存しない風景も簡単に作り出せてしまいます。そんな時代背景を持つ現在、日頃からデジカメを使い撮影する我々に写真を撮ることとはどういうことなのかを改めて問われているようでもありました。
本展示は、ひとつのテーマに対し写真作品と映像作品がセットになっています。駆け足で流して見るのではなくじっくり時間をかけて鑑賞されるのがお勧めです。
「なにものかへのレクイエム-戦場の頂上の芸術」
開催日時 2011年01月18日~2011年04月10日 10:00~18:00
会場 兵庫県立美術館
会場住所 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号
アクセス JR神戸線「灘」駅より徒歩約10分
阪神電車・市営地下鉄・山陽電鉄・神戸電鉄「岩屋」駅より徒歩約8分
入場料 一般1200(1000)円
大学生900(700)円
高校生・65歳以上600(500)円
中学生以下無料
※( )内は、前売料金及び20名以上の団体料金

美術の解剖学講義 (ちくま学芸文庫)
クチコミを見る