2012年5月21日に本州では173年ぶりとなる金環日食が観測されます。久しぶりの天体ビッグイベントとあって早くから観測用サングラスも書店などで大々的に販売され、その期待度が垣間見られます。

この金環日食を観測するだけでなく、写真に撮ろうと考えている方も少なくいでしょう。しかし、太陽に直接レンズを向けるのは目にもカメラにもよくないこと。そこで、デジタル一眼で金環日食を安全に撮影する方法をご案内しましょう。

■日食撮影にはフィルターが必要

まず太陽を撮るときに必需品になるのが日光撮影用のフィルター。強い太陽の光をファインダーを通して直視することが厳禁ということはわかるかと思いますが、カメラにとってもこれはとても危険な行為。直射日光をカメラのセンサーにレンズを通して浴びせるとセンサーの故障につながりかねません。

太陽に直接レンズを向けるときは、必ずフィルターを用います。

そのフィルターとは、NDフィルターと呼ばれるもの。ただNDフィルターにはいろんな種類のものがあり、太陽光を撮るには、1/100000(10万分の一)まで減光できるフィルターは欲しいところ。


金環日食


上の写真は、1/100000まで光量を絞れる、マルミ 太陽撮影用 NDフィルター DHG ND-100000 58mmというフィルター。


金環日食



使用するレンズの口径に合わせてフィルターを選びます。口径に合わないレンズの場合は、ステップアップリングを使うことで使用することが可能。


■日食撮影はマニュアル設定で


日食を撮影する際は、マニュアルで露出設定をします。マニュアル設定だと難しそうと感じるかもしれませんが、モニター画面を見ながら撮影をしていけば簡単に撮ることができます。


金環日食



設定例としてまず撮影モードをマニュアル(Mモード)に設定します。ISO感度はカメラの最低値に設定。ここでは露出値は、レンズの絞りをF11、シャッタースピードを1/1000と設定しました。


金環日食


カメラのセッティングでは、三脚を使用すると撮りやすくなります。レンズは望遠レンズを使用します。望遠倍率が高くなる分、画面の中に太陽を大きく写すことができます。三脚にカメラを固定し、レリーズシャッターをつければセッティングは完了です。


■露出はシャッタースピードで調整


フィルターを通して太陽にピントを合わせます。マニュアルフォーカスでピントを固定したほうが撮りやすいでしょう。

ピントが合ったら、いよいよ撮影していきます。 


金環日食


上の写真は、露出設定した通りF11、1/1000にて撮影。レンズは35ミリ換算時で600ミリ。

金環日食


最初に撮影した写真より明るく撮影するには、シャッタースピードを変化させて撮ります。シャッタースピードを1/500と最初のものより遅くさせて撮影すると、明るく写ります。状況に応じて、明るさを変化させながら撮影していきます。


以上のようなセッティングと撮影方法で進めていけば、金環日食を撮ることができるはずです。今のうちから余裕を持って準備して、観測日には、バッチリと決まった金環日食の写真を撮ってみてはいかがでしょうか。